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「コードでは買えないもの」のイラスト

Oussama Ammar

コードでは買えないもの

ちなみに、お金(だけ)でも買えない。

フランス語の原文は Flâneries Libres に掲載されています。

3月、OpenAIはTPG、Advent International、Bain Capital、Brookfieldとの交渉に数週間を費やした。資金を調達するためではない。これらのファンドが保有する企業の内部に、自社の法人向け製品を広めるための組織をつくるためだ。

Anthropicも、Blackstone、Hellman & Friedman、Goldman Sachsと、非常によく似たことをしている。

私は、この二つの取引は見た目よりずっと面白いと思う。

世界で最も先を行く二つの研究所。業界のかなりの部分が使うモデルをつくり、どんな企業でも合理的には必要としないほどの技術的人材を集めているであろう二社が、自分たちではつくれないものを手に入れるために、巨額の資金を差し出した。

アクセスだ。

入り込める企業。電話に出てくれるCFO。すでに築かれた関係。積み重なった信頼。契約、データ、誰にどの順番で話せばいいかを知っている人々。

OpenAIは、もっと優れたモデルを訓練できる。Anthropicは、もっと優れたエージェントを書ける。

だが、20年分の取引関係をバイブコーディングすることはできない。

市場は単に加速したのではない。形が変わった。

問題の片側は、驚くほど安くなっている。もう片側は、ほとんど動いていない。

10年前、ソフトウェアのアイデアを持つビジネス畑の人にとって、技術系の共同創業者を見つけることはステップゼロだった。最初のステップではない。その前の段階だ。

その人がいなければ、手元にあるのは資料といくつかのモックアップだけ。会話はたいてい「では、これをつくってくれる人を探さないと」で終わった。

その探索に6か月かかることもあった。時には12か月。特に10年間を一緒に過ごしたいわけでもない二人が、ようやくパズルの残り半分を見つけてほっとしたというだけで始めた会社も、相当あったのだろう。

この制約は、私たちが思うよりはるかに速く消えつつある。

今なら、優秀なビジネス系創業者は初期版をつくり、顧客に見せ、どこが壊れるかを見て、直し、やり直せる。CTOが本当に不可欠になるまでに、驚くほど遠くまで進める。

自分の寝室でOpenAIをつくれるほどではない。

それでも、直感を試し、ユーザーを獲得し、学び、時には市場の端緒を見つけるには十分だ。2019年なら初日から必要だった技術チームを組む前に、そこまで行ける。

Cursorやコーディングエージェントは、もちろんこの現象の最も目立つ表れだ。ただ、面白い帰結は「誰でもコードを書ける」ことではないと私は思う。

動くコードを生み出すことが、少しずつ希少性を失っていることだ。

一つはっきりさせておきたい。そうしないと、この議論はすぐにばかげたものになる。

技術そのものが自社の堀であるなら、これらは同じようには当てはまらない。新しいモデル、インフラ、ロボティクス、バイオテクノロジー、独自研究をつくっているなら、並外れた技術系創業者とエンジニアは今も必要だ。

おそらく、以前にも増して。

普通の道具が優秀になっても、優れた人と並外れた人の差がなくなるとは限らない。むしろ、さらに容赦のない差になることもある。

だが、企業向けソフトウェアの大きな部分では、単に製品をつくる能力は、ずっと希少ではなくなりつつある。

では、もう片側を見てほしい。

大企業に中へ入れてもらうには、今も説得が必要だ。予算を見つけなければならない。セキュリティを通る。コンプライアンスを通る。法務を通る。購買担当者を説得する。その上司も。時には、その上司の上司まで。

そして、誰かが2014年ごろにつくり、その後誰も削除する勇気を持てなかったであろう、200行のセキュリティ質問票に答える。

法人営業のサイクルは今も月単位だ。意思決定には今もばかげた数の人が関わる。AI製品の爆発的な増加は、問題を簡単にはしていないだろう。むしろ、企業が評価すべきベンダーを数百社増やした。

ここで、MITの数字が面白くなる。

企業のAIに関する彼らの研究では、分析した実証実験の95%が、損益計算書に測定可能な影響を与えていなかった。

95%。

これを単に「モデルがまだ十分に良くない証拠」と読むのは、大きな誤読だと思う。問題のかなりの部分はモデルではない。

家の中に入ることなのだ。

なぜなら、プロンプトで大口顧客を100社生み出すことはできないからだ。15年かけて蓄積したデータセットをバイブコーディングすることはできない。すでに二度痛い目に遭った法務責任者の信頼を生成することもできない。

ある業界で20年間を過ごし、誰でも思いつく三つの解決策がなぜ機能しないかを正確に知る人の業務知識を、一晩で合成することもできない。

私が面白いと思うのは、この非対称性だ。

AIは、ビジネス系創業者のゼロ日目における技術的依存の大部分を取り払いつつある。しかし、市場側にはそれに相当する近道を生んでいない。それなのに、今も大勢の創業者が、2019年に必要だった会社をつくるための採用をしている。

自分がつくれないものをつくれる人を探している。だが、面白い問いは次第にこうなっている。世界最高のAIを使っても、私につくれないものは何か。

流通。独自データ。信頼。20年間蓄積された業務知識。独創的な研究。すでに業界で獲得した地位。

その部屋に入る権利。

それが希少になっているなら、ほかにも一緒に変わるものがある。

新しい共同創業者は、人ではないのかもしれない。

すでに地盤を持つプレーヤーかもしれない。プレスリリースで発表し、手をつなぐ二つのロゴをスライドに載せるような「戦略的提携」の話ではない。自分なら10年かかるものをすでに持っているから、本当に結びつく相手のことだ。顧客、データ、信頼、業務知識、あるいはアクセス。

Abridgeを見てほしい。

一見すると、医療にAIを応用した非常に優れた企業だ。心臓専門医が創業し、現在は数百の病院システムと仕事をしている。だが私がもっと面白いと思うのは、技術の周囲に築いたものだ。

AbridgeはUpToDateと組み、その後New England Journal of Medicine、JAMAとも組んで、医学コンテンツを自社ツールに取り込んだ。NEJMは1812年から刊行されている。

214年分の正統性。

来年、もっと良いモデルをつくることはできるだろう。だが、次のスプリントまでに214年分の制度的な信頼をつくるというなら、幸運を祈る。

OpenEvidenceは、同じ話を別の形で示している。Mount Sinai、Cedars-Sinai、Sutter Healthといった病院環境に入り込み、医師がすでに使うツールと統合することに成功した。その製品の機能の一部は、当然コピーできる。だが、システム内部での地位は、そう簡単にはコピーできない。

Harveyは法律の世界で、同じ現象の別の姿を見せている。今では何万人もの弁護士が使い、世界でも最も入り込みにくい法律事務所の一部にまで浸透している。

もちろん、製品は良くなければならない。

だが、明日まったく同じモデルを使う二社を想像してほしい。一社は優れた製品を持ち、人間関係はゼロから始める。もう一社は、業務フロー、習慣、時にはデータを預け、承認に何か月も費やした何十もの機関の中に、すでにいる。同じ会社とは言えない。

すでに中にいることが、製品の一部になる。

そして、今日プライベートエクイティのファンドがOpenAIとAnthropicに売っているのは、まさにこれだ。単なる紹介ではない。獲得済みの地位を売っている。すでに保有する企業。すでに一緒に働く経営者。最初のリスクを誰か別の人がすでに引き受けた関係。

言い換えれば、時間を売っている。

20年分のネットワーク。20年分の信頼。20年分の開いた扉。

どれだけ計算資源があっても、20年を20秒には圧縮できない。 もちろん、この戦略には罠がある。しかも、きちんと言っておく必要があるほど大きい。流通を握る相手に寄りかかることは、その相手の下請けになる格好の方法にもなる。

顧客、関係、データ、利益を相手が持ち、自分は技術の層を提供するだけなら、堀を築いたことにはならない。

魅力的な物語をまとわせた業務委託契約に署名しただけだ。

提携が本当に面白くなるのは、自分の側に積み上がるものを残せる場合だけだ。成果の測定、利用によって生まれるデータ、業務フローの理解、稼働することで改善される層。3年間の提携の後、初日よりも自分を置き換えにくくする何かである。

そうでなければ、相手は学ぶ。

自分は実行する。

そしていつか、その発注を競争にかける。

それでも私は、このリスクを含めて全体の計算が逆転したと思っている。 15年間、ビジネス系創業者の反射的な行動は、自分につくれないものをつくれる人を探すことだった。

それは完全に合理的だった。

問題は、その理由がなくなっても、その反射だけが生き残りつつあるのかもしれないことだ。

希少性は移動した。 希少性が移動したとき、古い希少性を中心に会社を組織し続けることは、間違った会社をつくる最も確実な方法の一つだろう。

だから、問いはもはや単に、誰がこれを一緒につくれるかではない。

自分にはつくれないものを、すでに誰が持っているかになる。

OpenAIとAnthropicには、世界最高のエンジニアたちがいる。モデルがある。資本がある。ブランドがある。おそらく、歴史上ほとんどの企業を上回る技術的能力がある。

それでも、小切手を切った。

何を買っているか、正確にわかっていたからだ。

コードではない。

すでに開いている扉だ。

私もエミレーツでNaijmを通じ、自分の規模でかなり近いことをしている。

だが、それはまた次の機会に話そう。