
Oussama Ammar
第一原理から考える
画期的なプロダクトをつくるには、少し使い古された言い方だが、既成の枠を超えて考えなければならない。顧客に価値を届ける新しい方法を見つけ、技術と発想の両方で、既存の製品を上回るものをつくる必要がある。だが、助言はたいていそこで終わる。天才になれ。もっと優れたもの、まだ存在しないものを考えろ。実際には、その大胆な発想にも方法がある。枠を超えて考えるための具体的な手順だ。それが第一原理思考である。
新しい事業を考えているとしよう。つまらない方法は、うまくいっている既存の事業モデルを見つけ、少しだけ変えて、資金を出してもらうことだ。だが、そのプロダクトは存在理由を示せず、登場した瞬間に終わってしまう可能性が高い。顧客は普通、機能が一つ増えた程度では習慣を変えない。人の心を動かすのは、大胆な一手だ。では、第一原理から考えたらどうなるか。同じ事業モデルを見るとしても、機能を足そうとする代わりに、最も基本的で根本的な要素まで分解する。
これが重要なのは、枠を超えて考えるとは、常識を問い直す洞察を得ることだからだ。アイデアを分解し、検討し直し、組み合わせ直すことで、世界を新鮮な、型にはまらない見方で捉えられる。構成要素を動かし始めれば、「なぜこうでなければならないのか」「まったく違うやり方にしたらどうなるか」といった大きな問いを立てられる。第一原理から考える習慣を身につければ、ほかの人が思いつかなかった問題の解決策を生み出せる。
この方法を強く支持している一人がイーロン・マスクだ。SpaceXの成功に向けて、どう使ったのか見てみよう。
NASAがスペースシャトル計画を終えたころ、マスクは、アポロ計画の終わり以降、衰退してきた宇宙産業を見て、中心的な問題を見つけた。ロケットを打ち上げるには非常に多くのお金がかかり、その費用に見合う用途は限られていた。そこで、約60年にわたるロケットの考え方を基本まで分解し、使い捨てのロケットは、飛行機を一度使って捨てるのと同じくらい経済的に不合理だと考えた。宇宙へ飛ばし、帰還させ、何度も使えれば、資源の使い方はずっと効率的になる。長い目で見れば、打ち上げ費用も大幅に下げられる。問題を特定し、その解決が必要だと見抜き、実現に向けて取り組んだ。その結果、ロケットの見方は変わり、宇宙産業には再び活力が生まれた。
第一原理思考とは、こういうことだ。常識を基本的な事実まで分解し、そこから解決策をつくり直す。そうすれば、複雑な問題に対して独創的な答えを見つけられる。私たちも既成の枠を超えて考えられるし、次の大きな事業をつくれる。
Daedalium に初掲載。