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「気配りは必須だ」のイラスト

Oussama Ammar

気配りは必須だ

「気にかける」という言葉の意味は、誰もが知っている。日々の暮らしで、友人や大切な人、見知らぬ人にさえ実践しようとしている。朝起きて、「今日は全員に嫌なやつとして接したい」と思う人はいない。少なくとも、そういう人は多くない。誰もが「周りの人に、自分が気にかけていると知ってほしい」と言う。

本当の問題は、その気配りを規模が大きくなっても続けるときに生じる。最初の顧客を探している段階では、一人ひとりを大切にするのは簡単だ。正確に言えば、そうしようと決め、本気で実行するかどうかの問題である。自ら問題に対応し、直接やり取りして、強い関係を築く。規模が大きくなると、それは難しい。会社についてよく言われる不満の代表が、「あの会社は顧客のことを気にしていない」なのも、そのためだ。

電話会社のような多国籍企業を考えてみよう。顧客としてサポートに連絡しなければならない時点で、すでに気分が悪い。悪夢のような対応になるとわかっている。そこでは顧客が一人の人間ではなく、処理すべき大量の義務の、ごく小さな一片として見られているからだ。

スタートアップなら、一人ひとりの顧客が何を意味するか、正確にわかっている。

初期に支えてくれる人を見つけ、残ってもらうことが、どれほど難しいかを知っている。一方、顧客もウェブサイトの向こうに生身の人間がいると感じることを好む。誰が運営しているかを知り、使っている製品を身近に感じたいのだ。そうして初期には、お互いを気にかける感覚が生まれる。

Heetchは初期の好例だった。夕方から夜に運行する相乗りアプリとして始まり、バーから帰る人たちに役立った。創業者たちは何年にもわたり、人々と一緒に出かけ、最後にHeetchで帰宅できるよう手伝っていた。自ら現場でユーザーのコミュニティを作り、サービスの価値と顧客への気配りを示していたのだ。

スタートアップでは、その極端なほどの気配りが、本当に特別な存在になる力を持つ。つながりをつくれば、最も疑い深い人の考えさえ変えられる。心からの気配りには、私生活でも仕事でも、不思議な効果がある。CEOが問題を直すために直接連絡してくれたことを、人は忘れない。この種の気配りは、初期のスタートアップを本当に救うことがある。だからユーザーを中心に置き、親切に接することを重視した手順が必要になる。

スタートアップに完璧さは要らない。

この世界に完璧なものがないのはなぜか。完璧な製品はすべて、発売しなかった起業家のハードディスクに閉じ込められているからだ。世に出たものには、必ず問題がある。しかし気配りは製品の外側にある。気配りでは、できる限り完璧を目指せる。一人の人間として接する、誠実である、ありのままである。この三つを実践すればいい。それが勝ち方だ。製品の完璧さではなく、小さく熱心な利用者のコミュニティにとって、理想の起業家になることで勝つ。

もちろん時間はかかる。卓越した気配りには、起業家がいつでも応じられることが必要だ。返事をする準備ができていて、素早く、いつでも返す。一人ひとりに話し方を合わせる。私がスタートアップのサポートへメールすると、あまりに多くの会社が、つながりを感じられない無味乾燥な企業口調で返してくる。相手が丁寧な言葉なら丁寧に返す。くだけた言葉や面白い調子なら、自分が自然だと思う調子で返す。すべての顧客を、友人になるかもしれない人として見よう。画面上の数字として見ないこと。

事業を始めるとき、顧客との関係は人に任せられない。

文字どおり処理不可能になるまで、会社に連絡してくるすべての顧客に、起業家自身が直接対応する必要がある。顧客のメールに毎日1時間かけて返すなら、その1時間は最も価値のある時間の一つだ。決して無駄にはならない。問題が起きたら、解決に必要なことを何でもしよう。解決策を見つけると決めることで、スタートアップの最大の強みの一つを使える。

初期には、さらに一歩進めてよいし、そうすべきだ。自分の電話番号を公開する。そのくらいの関わり方が、優れた起業家をつくる。「そんなことをしたら、四六時中電話が来る」と怖がらないでほしい。電話が来るのは、あなたのサービスと、やっていることを相手が知っているからだ。それこそ目指していることだろう。電話が鳴りやまず、番号を公開しておけなくなるところまで行けたなら、すばらしい。起業家として成功にたどり着いたということだ。

問題を直すときは、気前よくすることに慣れ、その機会を喜ぼう。顧客を最優先することを、節約という観点で考えてはいけない。長期的には、自分たちを知ってもらう最良の方法の一つだ。生涯満足してくれる顧客を一人つくるための費用は、いくらであっても有意義な支出である。

私の助言は、ときどき誤解される。創業者には、力強く、野心を持って行動するよう伝える。しかしそれは、人への敬意を欠いてよいという意味ではない。許可より許しを求めるほうがよい場合もあると言うが、それには実際に許しを求めることも含まれる。間違えたら、心から謝る準備をしておこう。

会社からのメールは、生身の人間から届くものであるべきだ。

だから全員に、しかも素早く返事をする。配信解除を求められたら自分で対応し、リンクを送って本人にやらせない。荒らしでさえ無視しない。別の人に回すのではなく、自分で引き受け、問題を解く。

問題の解決を自分自身のこととして引き受ければ、その姿勢が会社全体へ伝わる。ためらわず問題を直すことがどれほど大切かを、全員が目にする。それが築きたい企業文化だ。

顧客サポートを拡大する段階では、使える道具がたくさんある。

できる限り早く業務に組み込むと、拡大がずっと楽になる。Intercom、Slack、Frontなどは、ユーザーについて重要な情報を与えるだけでなく、顧客との個人的な交流を最大限に生かす助けにもなる。簡単という意味でも、安いという意味でもない。難しく、費用もかかる。それでも、投資すべき最も重要なことの一つだ。

Captain Trainは、個人的な気配りを規模が大きくなっても保った好例だった。初期に会社へ連絡すると、CEOが対応することも多かった。優れた顧客サービスが最優先だった。チームは、話した相手の誰もが、その気配りの深さに驚いて帰ることを望んでいた。

会社が成長すると、その姿勢は全体に広がった。チームはFacebookでも積極的に交流し、人々に返事をし、誠実な語り口を保っていた。顧客はその誠実さに応え、Captain Trainはヨーロッパで数百万人のユーザーを得た。学ぶべきなのは、個人が持つ気配りの基準が、会社全体の習慣になった過程だ。

人とつながる方法は、オンラインだけに限らなくてよい。

イベントは、人々がコミュニティに参加し、本当のつながりを作る助けになる。最初は無料の食べ物や飲み物を目当てに来ても、意味のあるつながりが見つかれば、また来てくれる。楽しい時間を共有しながら、ユーザーとの関係を育てられる。

イベントでは、ユーザーについて深く学べる。相手のニーズに自分たちの活動をどう合わせればよいかがわかる。ユーザー同士をつなぎ、自分の仕事への率直な反応を得られる。人は一対一より、集団の中にいるときのほうが、役立つ意見を言ってくれる。なぜか。基本的な人間の心理だ。イベントは、人々が安心してあなたと接し、自分の懸念に耳を傾けてもらえるとわかる場になれる。

そしてイベントを成り行き任せにしない。計画を立て、いつ何が起きるかを把握する。会場に着いた途端、何の計画もないとわかるほど悪いものはない。自分もそこにいて、壇上で紹介し、会いに来てくれた人に会おう。

スタートアップで大切なのは結果だ。初期の気配りが、成長したときの、気配りを大切にする文化につながる。そこへ至るため、チームに浸透させるため、規模を広げるために、さまざまな戦略的判断をしてよい。しかし結局は、心構えの問題だ。心から気にかけよう。

Daedalium に初掲載。