
Oussama Ammar
どんな問題を解くのか?
起業家には問題が必要だ。解決策を見つけるための第一歩だからだ。だが、問題を見つけたり、本当に理解したりするのは簡単ではない。そこで、自分に問いかけるべき質問を挙げてみよう。
それは本当の問題か?
ここから早くも難しくなる。相反する可能性の真ん中で考えなければならない。他人には悪く見えるかもしれない、よいアイデアをどう見つけるか。偽物の問題の中から、本当の問題をどう見分けるか。誰の目にも明らかな問題を、明らかによいアイデアで解くことには、すでに誰もが取り組んでいる。それは簡単だ。必要なのは、想像でつくった問題ではなく本物の問題と、ほかの誰にとっても明白というわけではない解決策だ。
Googleを例にしよう。創業当時は、すべてを把握することが本格的な問題になるほどウェブサイトは多くなかった。ウェブ上のあらゆる情報を保存し、検索したいと言っても、その時点では切実な問題ではなかった。だがGoogleは、ウェブ上のデータ量が指数関数的に爆発する未来を見ていた。未来の問題だったために目立っていなかった、本物の問題を見つけ、よい解決策で解いたのだ。「当然、問題になるに決まっていた。誰にでもわかった」と言う人の罠にはまらないでほしい。未来は予測できない。いつも先のことがわかると言う人は嘘つきだ。だから未来の機会を現在の時点で見抜くのは難しく、Googleはあれほどの企業になった。
こうした問題を見つけるには、自分が変えようとしているものの内側に入る必要がある。そこで初めて、実際の痛みや、問題の存在を示す傾向が見える。本物の問題かどうかに確信がないなら、すでに道を見失っている。解決策を実行する段階では、手伝える人は大勢いる。実行には繰り返し現れるパターンがあるからだ。だが、業界の本当の問題を見つけたいなら、その日常の現実を深く理解しなければならない。
本物の問題を見つけるのは難しい。何度も試す必要があるかもしれない。それなら試し続けよう。ただし、何を探しているのかは明確にしておくこと。今も存在せず、将来も存在しない問題を捏造してはいけない。

問題を定義できるか?
問題を詳しく定義でき、誰に対してもごく少ない言葉で説明できることは、起業家にとって絶対に必要だ。きちんとやるには時間がかかる。一夜にして成功した話があると言う人は、物語を売りたい記者か、記者に物語を売りたい起業家のどちらかだ。
問題を正しく定義することが重要なのは、本当の問題を発見しても、事業が当初思い描いた道をそのまま進むとは限らないからだ。障害もあれば、行き止まりもあるだろう。それでも問題を適切に定義できていれば、障害を回り込む方法や、行き止まりから抜け出す新しい道が見つかる。

問題は大きいか?
これは選択の問題だ。大企業をつくろうと小企業をつくろうと、直面する課題は同じだからだ。大志を抱こうと、小さな目標にしようと、始めれば同じようにひどい出来事にぶつかる。起業家として成功するのは、何をやろうと難しい。成功率は非常に低い。だからこそ、引き受けるリスクの見返りを明確に見ておく必要がある。いつか成功するなら、小さな成功より大きな成功のほうがいい。
野心を引っ込めないこと。そして、自分の時間と努力を注ぐ価値があるほど大きな問題を狙っているか確かめよう。

問題は難しいか?
それほど難しくないと思うなら、警戒したほうがいい。難しくないのなら、なぜ誰も解いていないのか。しかも難しさは悪いことではない。問題が難しいほど機会は大きくなる。成功したときの規模が大きくなるだけでなく、ほかの人も成功できる可能性が下がるからだ。リスクの小さい問題にしか取り組まない起業家は多すぎる。優れた起業家は、大きく難しい、本当に解く必要がある問題に取り組む。
大きな問題に挑むことをためらわないでほしい。WhatsAppはその好例だった。彼らの特徴は、とても難しい問題を前に「これをやれる。しかも、すべてのOSで同時にやれる」と言った唯一のチームだったことだ。どんなエンジニアも、途方もなく難しいと感じる問題だった。それでもWhatsAppは取り組むと決めた。結果は知ってのとおりだ。

問題は明白か?
ここでもWhatsAppはよい例になる。友人がiOSでもAndroidでも、連絡を取りたいという問題は当然あった。ほぼ無料で話せる相手が、たまたま同じ電話を使う友人に限られてほしい人などいない。
Chipotleもそうだ。どんなレストランチェーンにも、規模拡大という課題がある。最も簡単な拡大方法は、品質の低下を受け入れることだ。レストランでもホテルでも、拡大に伴う品質低下という問題は同じように起こる。Chipotleは「拡大しても、ずっとオーガニック食材を使う」と最初に言った。あまりに難しいから、ほかの人はやらなかった。だが、その問題を解くと決めた途端、うまくいくことは明白になった。人々が欲しがっているのに、それまで手に入らなかったものだったからだ。
問題はすでに完全に解決されているか?
よくない起業家は、アイデアを調べ始めると競合を見回して「もう誰かがやっている。別のものを探そう」と言う。だが、問うべきは競合の有無ではない。問題が完全に解決されているかどうかだ。
Googleがこれほど大きくても、検索の競合が現れ続けるのはなぜか。成功した検索エンジンでも、検索に関するすべての問題を解いてはいないからだ。その規模が、よりよい答えを提供する機会を消すわけではない。それはよいことだ。
同じ問題に取り組むものが存在するか調べるだけでは足りない。問題が完全に解けていない限り、機会は残る。ほかの企業が越えられない地理的な壁などの根本的な問題に機会があるかもしれないし、問題への対応を調整し、改善する余地に機会があるかもしれない。
問題は日に日に悪化しているか?
悪化し続ける問題は、とくに注目する価値がある。
たとえば環境汚染を考えよう。日がたつほど悪化する。取り組む人は大勢いる。それでも解決していない。そこに巨大な市場機会があるとわかる。
以上が、自分の問題について問うべき七つの質問だ。答えがわかったら、ほかの重要なことに目を向けられる。

市場を理解する
たとえば市場の理解だ。あなたの解決策を必要とする人が日々増える、成長市場に入ろうとしているのか。それとも、助けを必要とする人が減っていく、縮小市場を狙っているのか。
市場とは本来、生きているものだ。静止してはいない。そして変動する三つの層で評価する必要がある。ターゲット市場、実際に対応可能な市場、そして獲得可能な市場全体だ。スタートアップは市場を考えるとき、将来顧客になるかもしれない世界中の人、つまり市場全体を考える罠に陥りやすい。そしてその市場での競合を考え始める。
スタートアップの当面の目標は、ターゲット市場だ。Appleも、後に到達する巨大市場を最初から相手にしたわけではない。カリフォルニアの、小さなコンピューター愛好家のつながりから始まった。
そこが明確になったら、一段上へ進んで、自社が実際に到達できる市場を見る。ターゲット市場を見つけ、対応可能な市場を満たす。この二段階を越えて初めて、競争を考える意味が生まれる。
はっきりさせよう。コカ・コーラとペプシは競合だ。コカ・コーラの売上が減れば、ペプシの売上が増える。市場全体を相手にしているから、そのように作用する。だが、スタートアップを立ち上げる起業家にとって、競合の売上が減るから自分の売上が増えるという直接的な関係がある可能性は、極めて低い。
市場全体を相手にできる段階に達すれば、競争を気にする担当者を雇えるし、高い給料も払える。それまでは、なぜ気にする必要があるのか。創業者の仕事はターゲット市場を獲得することだ。それだけだ。
だから、自分のためにも競合を忘れよう。知らぬが仏だ。自分の製品に集中しようとしているときには、なおさらそうだ。競合はコントロールできない。それなのに時間を使う理由があるだろうか。
周りを見回して、ほかの人が何をしているか知ってはいけない、という意味ではない。ただ、競争相手の動向を追うために見るのではなく、自分が使えるよいアイデアがないか探すために見るのだ。役立つものを見つけたら、賢く使おう。考えるのをやめてはいけない。自分の状況とニーズに合わせて調整する。ただコピーして貼り付けるのではなく、何をしているのか、それがどう役立つのかを本当に考える。

とくにスタートアップにとって、ヒントはどこにでもある
テック業界だけでなく、自分とは違う業界や分野にもヒントを探そう。世界には数千年の歴史があり、その間に人々は途方もないことをしてきた。普遍的な問題に直面し、危機の中で、よくも悪くも新しいパラダイムを生んだ人を探すなら、歴史の本を開けばいい。
芸術、文学、医学、鉄道には、驚くべきことをした人々がいる。テックのスタートアップの歴史はそれらの分野より短く、物語の数も相対的に少ない。起業やスタートアップの世界に閉じこもらないこと。思考を自由にしよう。自動操縦にせず、頭を動かし続ければ、新しい方向へ導いてくれる物語が見つかる。
こうした学びは、週末だけで終わるものではない。起業家を目指すなら、長期的な生き方の一部として引き受けることだ。人々の行動、築かれた理論、行われた研究を知れば、新しいことを試さないための言い訳はすべて崩れる。若すぎることも、年を取りすぎていることもない。経験が足りない。結構だ。必須条件ではない。あなたが愚かすぎるわけでも、ほかの人々がそうなわけでもない。ビジネス経験がない。それでもいい。最初は誰にもなかった。アイデアがないなら、Googleを開いて探そう。別の検索エンジンでもいい。ほかにもある。
言い訳は通用しない。残るのは、リスクを取る気があるかどうかだけだ。ないなら、それでもいい。誰もが起業家になる必要はない。だが、取るなら本当に取ろう。大きく目指し、状況をよく見て、速く動くことだ。
Daedalium に初掲載。