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「大きく育てる覚悟はあるか。」のイラスト

Oussama Ammar

大きく育てる覚悟はあるか。

私と一緒に仕事をする創業者たちは、そのうち私を嫌いになり始める。何度も同じことを言うからだ。スタートアップを定義するのは、成長である。インターネット上で事業をしているからスタートアップなのでも、技術に集中しているからそうなのでもない。最も簡潔な定義は、ポール・グレアムの言葉にある。スタートアップとは、成長だ。

スタートアップが人を驚かせるのは、ほとんど信じられないほどの成長を実現するからだ。

Uberの初期の拡大は、その好例だ。人々が驚いたのは技術だけではなく、ドライバー、顧客、売上が増える速さだった。成功するスタートアップは、短期間に通常の範囲を大きく超える成長を実現できる。

だから起業家は成長にこだわらなければならない。「いまやっていることは成長に役立っているか」と自分に問いかけよう。役立っているなら続ける。そうでなければやめて、成長につながることを探す。

それは居心地のよい状況ではない。成長には痛みが伴う。計画どおりには進まず、ロードマップにも従わない。制御できると思うなら、夢を見ている。

だから、外からどう見えるかでスタートアップを評価してはいけない。本当の状態を知りたいなら、創業者を見に行こう。ひどくストレスを抱え、いつも遅れ、ようやく水面から顔を出しているように見えるだろうか。それなら、順調なスタートアップかもしれない。あらゆる常識を破る速さで成長するとき、どんな創業者も苦闘する。

成長は、二つの方向に働く。

強い成長は、ほかの問題を隠してしまうことがある。会社が前進している間、投資家は辛抱強くなりやすい。成長が鈍り、目標に届かなくなると、その忍耐は消える。突然、すべての部署が調べられ、リーダーが交代し、それまで許容されていた弱点が急ぎの課題になる。成長していても、その土台となる会社が健全である必要はなくならない。

それでもスタートアップでは、この状況を受け入れる必要がある。成長こそが、本当の価値を作る道だからだ。その価値が、自分たちの取り組みすべてを最後に証明する。

どんな会社にも、成長が止まる日は来る。

初期に大きな成功を収めると、それが永遠に続くと思いたくなる。しかし成長は、いくつもの段階を経て進む。私たちは、無限へ向かって右上に伸び続ける完璧な指数関数のグラフを思い描きがちだ。現実には、伸びる時期と横ばいの時期がある。横ばいになったときこそ、会社の内側の仕組みが本当に評価される。それに備え、成長が鈍ったときに向けられる厳しい視線にも備えなければならない。

成長を適切に扱うには、前を見続け、成長は作り出すものだと理解する必要がある。勝手に起きることではない。完璧なプロダクトを作り、2人に渡して、指数関数的な成長を待てばよいわけではない。そもそも人は面倒くさがりだ。自分が使っていても、誰にも話していない製品がいくつあるか考えてほしい。逆に、大好きで人に勧めても、誰も使ってくれないものもあるだろう。だからこそ、成長を自ら取りに行かなければならない。

初期に成長を取りに行く戦略と、転換点を越えてから成長を管理する戦略は、違ってよい。

私は、急成長する企業が、製品、業界、目標に応じてまったく異なる戦略を使う姿を見てきた。Save、Trusk、Agricoolのかつての成長段階も、その多様さを示していた。ある事業に合う戦略が、そのまま別の事業にも合うとは限らない。

野心のある会社に共通するのは、より大きな使命を思い描く力だ。Agricoolは、人々の食べ方を変えることを語っていた。ダミアン・モランはSaveの志を、割れた画面を交換することにとどまらず、端末を救うことだと表現した。その大きさの目的があると、成長が苦しくなってもチームは前へ進みやすい。それがなければ、成長は恐ろしいだけで、挑む価値のある冒険にはならない。

速く成長するには、不可能に見えるほど強く、大きく押し進めるしかない。

誰も口にはしないが、成長している自分の会社が本当に消えるかもしれないと悟ったとき、どんな創業者も心の奥に恐怖を抱く。5年後や1年後の話ではない。明日、会社がなくなるかもしれない。優れた創業者は、その恐怖と、すべてが消えうるという認識を使って、前へ進み、波に乗り続ける。

だから考えすぎたり、完璧に計画しようとしたりしてはいけない。何かに6か月かかると言えば、それ以上かかるだろう。期限を決めずに「これをやる」とだけ言っていれば、もっと早く実現したかもしれない。急成長は日程表に沿っては起きない。到達点を通じて起きる。その到達点はKPIで定め、いつ実現するかをカレンダーに縛りつけないほうがいい。

「3か月でベータ版を終える」と言うことが、何の役に立つだろう。それより「ユーザーが1万人に達したら、ベータ版を終える」と言うほうが理にかなっている。そして、できるだけ早く1万人へ到達するために動く。それなら成長に合わせて対応できる考え方と目標になる。

起業家以外に、成長を恐れるのは誰か。投資家だ。

成果が見える前にお金を使うことを嫌がる投資家もいる。有益な吟味と、成長への反射的な恐怖を区別しなければならない。特に耳を傾けたいのは、いつ急成長を目指す価値があるかを、経験に基づいて理解できる人だ。

自社の成長と内部の到達目標を理解していれば、不安になり始めた投資家の声に従わなくてもよい場面を判断できる。起業家であるとは、いま何が起きていて、それが成長をどう前へ進めているかを正しく評価することだ。

この状況の根底には、スタートアップの大きな問題がある。関係者ごとに、引き受けようとするリスクの水準が違うのだ。銀行員はリスクをゼロにしたい。インターンの許容するリスクは無限大かもしれない。本人にはあまり関係がないからだ。投資家の許容度は銀行員より少し高いが、大差はない。そして起業家のリスク感覚は、会社が死ぬことへの恐怖に根ざしている。その恐怖があることは悪くない。それが、ほかの人なら不可能だと思うことへ自分を押し出す。ほかの人のリスク許容度では、踏み出せないことへ。

成長は難しいが、短期の成長は見えやすい。

グロースハックの助言はいくらでもあるが、どれも慎重に受け止めよう。グロースハックは化学反応に似ている。すでに顧客の支持と自然な成長がなければ、実施してもあまり役に立たない。本当に熱を生むには、適切な要素の組み合わせが必要だ。

手作業で作る成長には限界がある。友人全員が使い始め、Facebookの知り合いも参加し、さらに遠くへ広げる必要が出てきたら、グロースハック、業務の自動化、マーケティングなどに進む。その段階に達したかを知る方法は、指標を追うことだけだ。

指標の目標は、他社との比較で決めない。

誰かと自分を比べてはいけない。自社の成約率が1.5%で、業界のほかの会社が0.75%でも、自分たちのほうが優れているから順調だと思うべきではない。1.5%をどうすれば1.6%に、さらに1.7%にできるかを問うべきだ。

自分たちの数字そのものを追うからこそ、不可能に見えるところまで進める。目標を相対化して他社と比べ始めると、相手ほどできていないと落ち込むか、相手よりうまくいっているから十分だと満足するかのどちらかになる。

伸びるか、退くか。

最初の週に公開し、ユーザー数、成約率など、自分たちにとって最も重要な指標を見る。そして毎週、その数字を少しずつ押し上げていく。どうなるかはわかるだろう。小さくても具体的な数字が毎週着実に増えれば、やがて非常に大きな数字になる。

最後の生命線となる指標は売上だということも忘れてはいけない。成長を測るために何を追っていても、最も重要なのは売上だ。まずユーザーを増やし、売上は後で考えるという発想は捨てよう。筋が通らない。やめるべきだ。

結局、スタートアップを始めたいかどうかは、成長の狂気じみた面に心が動くかどうかにかかっている。

自分に向いているかを考える一つの方法が、アキレウスの問いだ。アキレウスが子どものころ、母は、彼には無名のまま幸せに生きる道と、若くして栄光のうちに死ぬ道があると知った。トロイア戦争へ向かうかを決めるとき、アキレウスはその二つの運命から選ばなければならなかった。故郷で暮らし、子や孫を持ち、やがて忘れられることもできた。しかし彼は逆の道を選んだ。栄光を選び、若くして死んだが、その名は数千年にわたって生き続けている。

幸せになり、お金を稼ぐ方法は世の中にたくさんあり、スタートアップでの成功を目指す必要はない。二つの道から選べる。その道を見極め、自分の意思で選ばなければならない。永遠の選択である必要はない。いま栄光を選び、5年後に考えを変えてもいい。ただし、スタートアップを始めることは、栄光へ向かう道に踏み出すことだ。つらく、難しく、危険で、誰にでも向いているわけではない。自分に合っているかを決めるのは、あなただけだ。

Daedalium に初掲載。