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Oussama Ammar

チームをどう大きくするか

優れた起業家は皆、すばらしいスタートアップを築くには、すばらしいチームを築く必要があると言う。決まり文句になっているのは、事実だからだ。

しかし若い起業家に、成功すれば一日の半分を採用に使うようになると言っても、信じてもらえない。本当に理解するには、経験するしかない。

そこで、会社を拡大するときに生じる摩擦と、チームの拡大を自然に進める方法を考えよう。

その前に一つ覚えておいてほしい。採用が遅すぎて死んだチームはない。速すぎて死んだチームは、たくさんある。

早すぎる採用は致命傷になる。間違った人を雇うと、その人がさらに悪い人を呼び込む。気づけば社内に、すべてを焼き尽くす力を持つ妨害集団ができている。

一人ひとりのメンバーのよさと、具体的な技能の高さには、あまり相関がない。技能と姿勢は別のものだ。しかしチーム全体が、どれほど一様に優れた人でそろっているかと、スタートアップの成功には、大きな関係がある。

採用するときは、新しく入る一人ひとりが、自分のいない場所で物事を動かす小さな責任者になると理解しよう。そして当然、自分がその場にいない状況はたくさんある。

ゆっくり採用することに、代償はない。一つの機会を逃して死ぬことはない。市場を逃さないために急いで採用しなければと思う人がいるが、そんなことは起こらない。

そもそも、スタートアップは競争で死なない。少なくとも極めて少なく、そうなったなら運が悪かったのだ。道を歩いていたら、空から隕石が落ちてきて当たり、死んでしまうようなものだ。起こる可能性はあるが、低すぎるので、真剣に心配する必要はない。

競合を心配するより、正しく採用しよう。遅すぎることを恐れず、自分が納得できる速さで進めればいい。

納得感は大切だ。起業家は、人についての自分の直感に耳を傾けることに慣れる必要がある。仕事には、直感に従うと大きな間違いをする分野も多い。しかし周囲の人についての直感を聞くことは、とても重要だ。

言うほど簡単ではない。社会の中で私たちは、人について本当に思っていることを言わないよう教えられているからだ。

だから、私に会って太っていると言うのは子どもだけだ。ただの事実なのに、大人が面と向かって言ったことはない。なぜか。事実でも、相手を傷つけそうなことは言わないよう教わるからだ。あるとき夕食で、友人の6歳の子が言った。「Oussama、太りすぎだよ。もっと体を大切にしないと、若くして死んじゃうよ」。大人たちは凍りついたが、私は「ありがとう。その姿勢を忘れないで。君の起業家的な考え方は好きだよ」と答えた。

しかしこういう場面で周りが驚くと、子どもは、言うべきではなかったと理解する。やがて、相手をぎょっとさせないよう、思ったことを言わず、そうした反応を避けることを学ぶ。そして大人になれば、理由もなく人を傷つけないことは、社会生活の大切な一部になる。

だが採用のときは、その考えを押し込めてはいけない。「子どもモード」を入れよう。もちろん、思った反応をそのまま外へ出す必要はないし、裁判沙汰になるようなことを書き残してはいけない。それでも、人についての直感には耳を傾ける必要がある。ほかの何よりも多くを教えてくれるからだ。

これは身につけていく過程だ。起業家としての直感に、自信を育てる必要がある。誰がどう働くかを正確に予測できる超能力がある、という罠にはまらないこと。誰でも、どこかではよい仕事ができる。しかし誰もが自分の会社に合い、自分とよい仕事ができるわけではない。

いろいろな意味で、セックスに似ている。会う人全員とセックスしたいとは思わないだろう。そうでないなら、会う人全員を採用したいと思う必要もない。

世間は起業家には人を雇う責任があり、雇用を生むために存在していると考える。しかし起業家なら誰もが、この仕事の最もつらい部分は、他人に頼らなければならないことだと知っている。起業が難しいのは、一人ではできないからだ。並外れたことを一人で達成するのは不可能である。それでも起業家は皆、一人でできるほうを好むだろう。

だから、自分と同じ意志と意欲を持つ人を見つけることは、自然には起きないと受け入れよう。自然でないからこそ、探すために多くの時間と努力を注ぐ必要がある。

スタートアップのチームを大きくすることは、うまく採用し、うまく管理し、うまく解雇することに尽きる。

大企業と同じではない。プロダクト・マーケット・フィットを得た大企業では、持っているものを守る必要がある。守るには、指示に従って適切に業務を進める人が要る。大企業がすばらしいのは、あまり賢くない人でも運営できる点でもある。

スタートアップには非常に多くの世話が必要だ。つまり脆く、運営には非常に有能な人が必要になる。3歳児と週末を過ごすか、40歳の大人と過ごすかの違いだ。小さな子どもには、本当に注意が必要になる。突然、窓を開けて飛び降りようとしたり、存在すら知らなかった鋭い物を手にしたりする。ずっと見ていなければならない。大人と一緒なら、その警戒は要らない。薬物が絡んでいないと仮定しよう ;)。

起業家であることは、3歳児20人の面倒を見るようなものだ。大企業なら多くの失敗をしても致命傷にはならないが、スタートアップは一人の従業員に潰されることがある。

本当に、従業員は驚くほど愚かなことをしうる。しかも助けになると思ってやるのだ。手順がなく、周囲が混沌としていて、何が正しい進め方かわからないために、間違いが起こる。スタートアップはプロダクト・マーケット・フィットを探し、拡大可能な成長を目指している。しかしそこへ至る前には、ひどい考えでもよさそうに見えることがある。

だからチームの拡大とは、基調をしっかり定めることだ。起業家は最初の10人の採用について、もっと疑い深くあるべきだ。その人たちが、文化全体を決めるからだ。

それは三段階で起こる。

第一段階:創業者の自然な延長としての文化。

創業者が文化を定めようとしても、自ら体現していなければ、それは自分たちの文化ではない。宣言文を書き、価値観を並べた後、正反対のことをするスタートアップを、私は何社も見てきた。

自ら手本を示す必要がある。早く来てほしいなら、自分が早く来る。懸命に働いてほしいなら、自分が働く。そして創業者が何かをすれば、チーム全員にもそれをする権利を与えていると理解しよう。

あなたの一つひとつの行動が、チーム全体に採り入れられる。何にこだわるかを賢く選ぼう。

第二段階:その文化を受け継ぎ、自ら体現する人を雇い始める。

ここから危険な道が始まる。拡大し始めるとは、自分の教団を大きくすることでもある。教団に入る人は、どんな宗教の改宗者とも似ていて、融通が利かず、少し狂信的になる。その硬直性は危険だ。強い文化とは、柔軟な文化だからだ。

強い文化は、多少の不整合を受け入れられる。すべてがきっちり収まり、実用的で、体系の中で完全に筋が通っているなら、そのスタートアップは固まりすぎている。「普段はこうする。ただし別のやり方をするときもある」と皆がわかっている文化が必要だ。

その柔軟性がなければ、会社は硬直している。硬すぎる木に強風が吹けば、どうなるか。折れる。硬直した会社で市場が変わったり、顧客が危機に陥ったりすれば、どうなるか。会社が折れる。

第三段階:組織の拡大に関わる全員が、文化を自分のものとして担う。

単純であり、とても難しい。採用する一人ひとりに、文化を薄める力があるからだ。それに抗おう。文化は長期にわたって自分たちを守り、組織が何者かを定める。そして最終的に文化を体現するのは、誰にお金を払い、誰を昇進させるかだ。

革新的な会社だというポスターを壁に貼っても、革新的でない人ばかり昇進させるなら、その会社の文化は革新的ではない。それだけだ。

従業員は、文化の隠れたルールを、信じられないほどよく理解する。宣言文には何を書いてもよい。しかし報酬を払い、昇進させる相手にそれが表れていなければ、嘘である。

昔、大企業のコンサルティングをしたとき、これを実際に見た。経営者は協働を望んでいるのに、社員が皆競争的で、互いに働こうとしない理由がわからないと言った。5分で理由は明らかになった。年末の賞与は、全員が個人成績だけで決まっていた。つまり誰かと一緒に働くと、自分の給料が減る仕組みをつくっていたのだ。皆が刺々しくなるのは当然だろう。(報酬体系を変える提案をしたら、「いや、それはできない。それがうちの文化だから」と言われた。ああ、そうですか。)

チームワークに最適化されていない仕組み……

会社が『ハイランダー』のように、最後の一人だけが生き残る大きな戦場でも構わない。それは選択であり、社内の全員がその選択とともに生きる必要がある。ただし、正直であろう。

拡大の途中では、オフィス勤務とリモートワークをどう扱うか決める必要もある。まったく同じものではないと理解しよう。歴史的に文化は、同じ場所にいる人によって築かれてきた。部族、都市、国家はいずれも領土を基盤にし、皆が物理的に一定の空間内にいた。

インターネットは、物理的な存在をまったく前提にしない文化を築くという考えをもたらした。同じ部屋に誰かがいることに、文化づくりを頼れないのだ。

だから、チームの一部だけがリモートという会社は、本当の意味ではつくれない。全員がリモートか、誰もそうでないかだ。ときどき在宅勤務をする人がいてはいけないという意味ではない。それは構わない。しかしそれは、リモートのチームとは違う。

リモートのチームでは、大切なことはすべてオンラインで起きる。才能を本当にどこからでも集められるので、すばらしいことが起きる。しかし情報が見えないところで自然に伝わることがないため、情報を100%明示する必要がある。

それが最大の課題だ。すべてを書き残し、全員に必要な内容を渡し、情報を取り逃したり、どこに探せばよいかわからなくなったりするのを防ぐ。対面のチームより、はるかに堅固な情報の仕組みを築かなければならない。

リモートでもオフィスでも、フリーランスと社員への考え方を見直そう。人によって望むものは違う。「社員は指示できる人、フリーランスは指示できない人」という古い捉え方は、もう当てはまらない。

スタートアップで指示することには、大した意味がない。よいスタートアップは、「どうやって」やるかにこだわらないからだ。大企業には手順が必要だが、スタートアップには必要ない。脆さを扱える、とても賢い人を採用する必要がある。スタートアップには状況と目標があり、そこにいる人が賢いときに初めて機能する。

創業者は、自分より賢い人を探し続ける必要がある。そうすれば、採用した人がやり方を教えてくれる。いつまでも従業員にやり方を教える必要があるなら、採用する人を間違えたのだ。

そして失敗することもある以上、スタートアップでの解雇はとても自然で普通のことだと覚えておこう。私は、親しい友人だと思い、クリスマスの夕食にも招きたい人を解雇したことがある。解雇は、その人への感情とは関係がない。仕事で価値を提供できるかどうかの問題だ。

仕事はすばらしくできるが、一緒に休暇へ行きたくはない人を雇えることはわかるだろう。ならば逆に、愛情を持ち、身近にいてほしい人を解雇する必要もありうる。どちらの方向にも成り立つ。

(だから、家族や友人、大切な人と一緒に働くこともできる。ただし、解雇しても関係を傷つけないとわかっている場合だけだ。大切な人との関係が取引的なものではなく、正直に話せて、解雇が必要になっても壊れないことを、十分に確かめよう。)

では、よい採用をするための仕組みをどうつくるか。

初期から長い間、採用は創業者だけの責任だ。若いスタートアップにCFOは要らない。何の最高財務責任者なのか。破産のだろうか。しかし人を担当する人は必要だ。創業者の一人が専門に担うべきである。それでもCEOは、時間の半分を採用に使うことになる。文化はとても長い間、任せられない。数百人、場合によっては数千人を採用するまでの話だ。

起業家が採用に集中していないと言うたび、私はひどいことだと思う。会社を焼き尽くせる間違った人を、中に入れないことより大切なことがあるだろうか。採用は、そのくらい切実なものとして、大きく致命的な災難にもなりうるものとして捉えなければならない。

いつも採用モードでいよう。強い意志を持ち、機会をつかみ、優れた人を見つけたらすぐ仲間に入れる。

面接者としての自分を知り、自分の弱点を見つけよう。たとえば私が採用で間違うのは、苦しい境遇から来た、強い意欲を持つ人を見るときだと学んだ。自分を重ね、助けたくなり、本来見るべきほかのことを見落とす。それは大惨事になりうる。しかし今は自分の盲点だとわかっているので、そういう人には別の面接者と話してもらう。それを乗り越えたなら、採用してよい。

誰にも盲点はあり、それでいい。超人である必要はない。私は、そのような感情が湧かない人間になりたいとも思わない。しかし起業家として、その感情で会社を危険にさらすわけにはいかない。

警戒を緩めないこと。間違った人を雇うより、優れた人を逃すほうが、はるかによい。一人がもたらしうる利益は、もたらしうる損害より常に小さい。人が負担になると、正気を失うことがある。間違った人を数か月招き入れただけで、何年も訴訟にまみれることもある。

技能を試すのは大切だ。しかし相手を心理的に理解し、どんな人間かを知ることのほうが大切である。自然な振る舞いが見える方法を探そう。一緒に飲む、散歩する、採用候補者と走る起業家もいる。私は食事をする。食べ方には、その人の多くが表れると思うからだ。

自分の方法を見つけよう。必ず見つけることだ。人は「面接モード」になると仮面をかぶるのがうまい。初めてのデートのようなものだ。あなたの仕事は、「今、本音の、正直な言葉が聞けた」と言える真実の瞬間を見つけることだ。

大企業の採用なら、訓練できる。ビジネススクールはそのためにあり、平均的な人が何を言いたがり、聞きたがるかを教える。しかしスタートアップの創業者は、平均を求めてはいけない。必死に卓越性を探すのだ。新しい現実をともに生き、虹の果ての黄金を一緒に探したい人を見つけなければならない。

必要なのは、飾らない人だ。よく見せるためにではなく、本当にそう考えているから話す人である。見つけるためには、真剣に耳を傾ける必要がある。

では、それをどう大きくするかという問いに戻ろう。

基本的に、チームをうまく拡大する唯一の方法は、最初の数人をとても上手に採用し、その人たちが次の採用を助けてくれる状態にすることだ。

そして採用で終わりではない。チームの人数が倍になるたび、すべてを見直そう。会社をつくり直すようなものだ。8人、16人、32人、64人、128人、256人と増えるたび、コミュニケーション、責任、文化、採用、そのすべてを再検討する。完全に変える準備をしておこう。一つひとつの行動を同じまま保つことではなく、正しいエネルギーを流し続けることが大切なのだ。

少数に高い給料を払うより、大勢に少ない給料を払うほうがよいという罠にはまらないでほしい。可能になり次第、スタートアップは市場相場より高く払い、インターンを避け、全員が価値の創造に貢献していると確かめる必要がある。

採用では、高く払うことが保険になる。高く払っている相手が、よい仕事をしていなければ、いつまでも置いておかないだろう。状況が混乱し混沌としているとき、高く払うことは、適切な人が適切な場所にいるかを確かめるよい方法だ。

使命だけで入ってくる人はいない。もしいたら、少しおかしな人を雇ったということだ。使命、お金、株式、充実感を適切に組み合わせ、全員の方向をそろえ、会社の成功に本気で関わってもらう必要がある。

最後に、解雇が必要なら、上手にやろう。よい方法の一つは、自分から辞めたと言える機会を相手に与えることだ。解雇の大きな問題は、誰も自分が失敗したように見られたくないことにある。しかもスタートアップでは、たいてい相手の言い分が正しい。解雇が必要になったなら、失敗したのは相手でなく、創業者であるあなたなのだ。それはあなたの責任である。

だから、自分にはこの会社では物足りず、自分で辞めると決めた、と皆に言わせよう。違うことを言って、その信頼を裏切ってはいけない。失敗したのは自分なのだから、適切な退職金を払い、責任を負う。それによって、次の採用にはもっと慎重になる。次の仕事に向けて、積極的に推薦する。そこまでやれば、自尊心と騒動が取り除かれ、解雇はずっと楽になる。

わかっただろう。チームの拡大は、理論では簡単で、実践では難しい。尊敬する人を採用し、大きな自由を与えて責任を任せ、規模を広げながら、その人たち自身に手本を示してもらおう。

Daedalium に初掲載。