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「お金、力、そして敬意。」のイラスト

Oussama Ammar

お金、力、そして敬意。

創業者から「資金調達を手伝ってもらえませんか」とよく聞かれる。私には、その前に「なぜこの会社には投資家が必要なのか」と問うほうが有益に思える。その答えを理解すると、力関係が変わる。

起業家として投資家について問うべきなのは、そもそも自分がなぜ彼らを必要としているかだ。答えるには、投資家がどんな人たちで、なぜ資金を提供するのかを知らなければならない。交渉の両側を理解していなければ、本来持てるはずの力を十分に持てない。

スタートアップが資金を必要とするのはいつか。たいていは創業直後ではない。成長する必要が生じたときだ。会社がある段階に達すると、入ってくる売上だけで事業を回す限り、成長速度にも限界が来る。その速度を上げるために、投資家から資金を調達する。

投資を突き詰めると、力関係に基づく関係になる。

生き延びるために資金が必要になる前に調達しよう。存続に苦しむ事業にはリスクがある。投資家はリスクを扱う世界にいるが、危うい事業に資金を入れたがるわけではない。人によって許容度は違う。それでも選択肢が豊富なら、実際の成果と成長を示し、自分たちの資金によってさらに加速できる企業に投資する。

投資家と話しているのは、あなただけではない。その投資家に提案している起業家はほかにもいる。優れた起業家は四六時中、自分の会社のことを考えている。そのため、自社も数多くある会社の一つにすぎないことを忘れがちだ。あなたは、優れた多くの事業と目に見えない競争をしている。だから提案は「いい事業なので投資してください」では足りない。「投資先として選べるほかの事業より、私の事業が優れている理由はこれです」と伝えなければならない。

投資家も万能ではない。投資を見送る理由はいくらでもある。直前にほかの事業へ多くの資金を投じたため、次のファンドを組成するまで新規投資を抑える必要があるのかもしれない。特定の事業や、特定のタイプの創業者を探しているのかもしれない。そこにはゲームがある。各プレーヤーについてできるだけ多くを知ることが、自分の立場を強くする。

投資家は、そのために必要な金額を払う。

ヨーロッパについて、「資本が少ないから機会も少ない」という話をよく耳にする。しかし投資総額だけでは、その資金を何社が奪い合い、どれほどの競争圧力にさらされているかはわからない。初期の投資は地元で行われることが多い。会社が成長すれば、世界の資本市場にアクセスできるようになる。ヨーロッパのスタートアップがアメリカやアジアなどで資金を調達しても、必ずしも運がよかったわけではない。誰かが適切な相手を紹介したのかもしれないし、投資家が無視できないほど重要な会社になったのかもしれない。

調達額は、そのお金で何ができるかと合わせて比較しよう。採用、オフィス、顧客獲得の費用は市場によって大きく異なる。ヨーロッパの調達額をアメリカの調達額に換算する、普遍的な比率などない。見出しに載る金額だけでなく、その資金で確保できる事業継続期間と、到達できる目標を比べるべきだ。

コストが高いからといって、非効率とは限らない。集積したエコシステムは大都市の中心部に似ている。人材や資源へのアクセスがよいために、価値も費用も高くなる。それでも別の場所で優れた会社を作ることはできる。郊外に美しい家を建てられるのと同じだ。早く投資した人に最大のリターンがもたらされると考えると、投資家はより早い段階へと競い合い、資金に対する価値を最大化しようとする。

勝者総取り。この価値の最大化が大切なのは、投資の世界に勝者総取りの性質があるからだ。優れた案件には競争が集まり、交渉条件は流動的になる。資金調達を固定されたものと考えてはいけない。事業に勢いがあり、投資家が関心を示していれば、評価額も調達できる資金も変わりうる。

早く参加したいという圧力と、比較的狭い投資家の世界が重なり、順調な資金調達にはバタフライ効果が生まれる。起業家は最初、誰に資料を見せ、誰と話すか、すべてを管理したくなる。だが資金調達を最適化するには、すべてを支配しようとしてはいけない。小さな出来事、短い面会、予想しなかった細部が、最終的な契約に不釣り合いなほど大きく影響することがある。

投資家は万能ではない。結局のところ、良い案件か悪い案件かを感覚で判断する。最終的な答えが出るのは、時間がたってからだ。しかし感覚は最初から存在する。その感覚を作るのは一種の技術だからこそ、一見小さなことが大きな結果につながる。数字もデューデリジェンスも、結局はその感覚を裏づけるためにある。これは良い案件なのか、悪い案件なのか。

真実は必ず表に出る。

起業家にとって、案件の良し悪しは「何を、誰から、どうやって、なぜ」という四つの問いを中心に回る。どの資金を、いくら受け取るのか。小切手には何が書かれているのか。これは簡単だ。次に、誰が出すのか。こちらは難しい。お金はすべて同じではないからだ。賢い投資家から来て、さらに次の資金へつながる良いお金もあれば、会社を壊す有害な投資家から来る悪いお金もある。そして、どう受け取るのか。スタートアップでは不思議なことに、「いくらか」を決めてから条件を交渉するため、ひどい法的条件に行き着くことがある。資金を受け取らないほうがよいほどひどいものもある。悪い投資家は条件を複雑にし、良い投資家は簡潔にする。

最後に、なぜか。「なぜ」は、起業家と投資家の認識が食い違う最大の原因だ。投資家が意図を率直に話すとは限らず、起業家も取引を失うのを恐れて、自分に嘘をつくことがある。

しかし、その嘘には代償がある。相手と寝るためだけに嘘をつくのと同じだ。短期的には通用するかもしれないが、長期的には維持できない。起業家は、自分にも投資家候補にも正直であるべきだ。会社に何を望むのかを誰も正直に話さない取引を結ぶくらいなら、取引を失うほうがいい。真実は必ず表に出る。

多くの取引で、起業家は「何を」だけを最適化する。本来、最適化すべきなのは「誰から」と「なぜ」だ。経験の浅い起業家にとって、この二つは大きな違いを生む。少なくとも、根本的に善良で、あなたを助けたいと考える人たちと会社を育てることになる。その関係は、できれば長く続く会社の一生を通じて、双方に利益をもたらす良好な投資家関係の土台になる。

調達できるときに調達する。

「いつ調達すればよいとわかるのか」。少し逆説的に聞こえるかもしれないが、答えは単純だ。調達できるときに調達する。だからこそ、できる限り自力で成長し、顧客の支持と実績を積み上げることが大切なのだ。それが選択肢を開く。銀行口座の残高が増えれば、会社のリスクは小さくなる。ただし、その機会は自分の都合だけで決まるわけではない。

加速するために調達し、調達できるときに調達する。では評価額はいくらにすべきか。スタートアップの世界で最も人気のある話題だが、どう決めればいいのか。実は評価額には二つある。仮の評価額と、本当の評価額だ。

本当の評価額の土台は一つしかない。予測可能な収入だ。時間を無限に取れば、評価額は結局、収入の何倍かに落ち着く。それ以外のものは残らない。いま投資する人は、将来の会社のキャッシュフローを得るために、一定の上乗せ分を払っているからだ。

将来のキャッシュフローを現実的に予測できるまでは、私が仮の評価額と呼ぶものを交渉している。創業者は楽観的になりがちで、投資家候補はそれより悲観的かもしれない。目標は両者の均衡を見つけることだ。初期のラウンドが悲観側に偏りすぎると、創業者にとってほとんど利益がなくなる。15万ドルと引き換えに会社の30%を渡す場面を想像してほしい。私の考えでは、そのような希薄化は起業家が受け入れるべきではない。

どの会社にも、どの市場環境にも当てはまる評価額の下限などない。変わらず大切なのは、そのラウンドで実現できる前進と引き換えに、どれだけの持ち分を渡すかだ。事業モデルを証明する前から会社を弱くする条件なら、売上、キャッシュフロー、実績を改善してから交渉に戻ればいい。事業の実績が交渉力を生む。

事業計画書はいったん忘れよう。

事業計画書や予測モデルを作ることに振り回されなくていい。創業初期のスタートアップでは、事業計画書に意味はない。事業計画書のある会社にしか投資しないと言う投資家も、本当の理由を話しているわけではない。こう伝えてみればいい。「これが予算で、このお金でやりたいことはこれです。売上がどうなるかわからないので事業計画書は作りません。このラウンドの目的は、信じられる事業モデルを確立することです」。投資家は投資するか、しないかを決める。投資しないとしても、事業計画書を渡さなかったからではない。投資したくなかったからだ。それだけのことだ。

起業家は、資金調達を会社の初期に必ず通る段階だと考える。それが問題だ。そう考えると、誰に対しても「ノー」と言えなくなる。自分が何をしているかを適切に捉えていないため、求められたことを何でもやってしまう。約束しよう。事業計画書の作成に2週間を使うより、売上を作るために2週間を使うほうが、多くを得られる。

実体のある会社ができ、シリーズBの調達を考える段階なら、事業計画書が重要になる。データがあるからだ。しかし初期の調達で、仮説を検証し、自分たちの解決策に誰かがお金を払うか確かめている段階には、その土台がまだ存在しない。

起業家として目指すべきなのは、次の原則を実行できる力を自分に持たせることだ。悪いお金を受け取るくらいなら、お金がないほうがいい。悪い会社を持つくらいなら、会社がないほうがいい。

投資の世界でも、VCは独特の存在だ。

理由の一つは、VCはどのみち報酬を受け取るということだ。投資は彼らの仕事であり、報酬の高い仕事でもある。そのため、起業家であるあなたとは気にすることが違う。彼らのお金を受け取ることに遠慮はいらない。資本をリスクにさらすこと自体が仕事なのだ。成功すれば大きく報われる。失敗しても、彼らは次に進む。次にどうするかを考えなければならないのは、あなたのほうだ。

彼らには独自のルールがある。仕事の構造上、VCも起業家なのだ。その市場には一定のルールがあり、そこからイグジットの話が出てくる。資金を渡すVCは、いつかそれ以上の資金が戻ってくると期待している。VCの資金を狙うには、多くの力学を理解する必要がある。ファンド内部の経済構造は複雑で、いつでもどの会社にでも投資できるわけではない。あなたの会社ならなおさらだ。

VCだけが道ではない。ほとんどの会社はVCから資金を受け取らない。一方、スタートアップの世界でVCが与える影響は非常に大きい。唯一の道ではなくても、多くの有力企業がどこかの段階で利用する重要な道ではある。

VCの資金に中間はない。それを使う道を選ぶと、結果は1か0になる。成果を出し、新たな上司に報告し、会社で起きていることを説明しなければならない。突き詰めれば、VCの道を進むとは、巨大になるか、終わるかを選ぶことだ。

投資家に見つけてもらおう。

結局、優れた起業家は、会社を作ることこそ投資家を見つける最良の方法だと知っている。実体があり、人が求めるものを作れば、投資家のほうからやって来る。その交渉力を持つことが、会社を指数関数的な成長へと近づける最善の方法なのだ。

Daedalium に初掲載。