
Oussama Ammar
危機の中でのリモートワーク
平時であっても、スタートアップは常に柔軟で、危機対応に切り替える準備ができていなければならない。起業家には、やっていることをすべて変え、つかむべき機会を見つける力が必要だ。
2020年のCOVID-19による外出制限は、こうした課題を桁違いの規模で浮き彫りにした。その経験には、リモートワークや長引く危機への対応に通じる教訓がある。
2008年とはまったく違う。自分が病気になる不安があり、友人や大切な人を心配し、世界中の人に起きていることを目にする。そのうえ、移動し、人とつながり、日々交流する力にも影響する。誰が何と言おうと、オンラインで一緒にいることは、同じ部屋にいることとはまったく違う。
習慣を大きく変えると、自分の生活の実態が見える。外出制限の前、私はかなり働いているつもりだった。その間に、猛烈な勢いで働いていて、別のやり方を見つける必要があると気づいた。
実際に試した生産性の助言で、特によかったのは通知をすべて切ることだ。Slackの確認を1日2回にした。それですべてが変わり、ようやくさまざまな仕事に深く取り組めるようになった。
とはいえ、これはかなり個別の例だ。危機の最中にも、その後にも大切だと思う、起業家全般への教訓がいくつかある。
1/ 短期には悲観的に、長期には楽観的に
短期の計画を楽観的な見通しに頼ると、危機で大きな代償を払うことになる。最初の外出制限では、特定の日に制限が終わると決めつけるのは危険だった。誰にもわからなかったからだ。厳しい状況が6か月続くと考えて準備しておけば、回復が早まった場合はよい知らせになる。
これは、もっと大きな真実につながっている。よい知らせに適応するほうが、悪い知らせに適応するよりずっと簡単だ。予測しようとしないこと。あなたの対応する力は、未来を予測する力より優れている。
結局、現実はいつも想像以上に意外なものだからだ。私たちは想像力の限界に縛られている。怪物を思い描いても、すでに知っているものの組み合わせにすぎない。最悪の警戒態勢を想定しても、実際に起こることに追いつくほど「現実的」にはならない。福島の例を考えてみよう。地震、テロ攻撃、津波など、災害ごとの計画はあった。しかし、地震の後に津波が来る計画はなかった。だからこそ、できるだけ素早く対応できる自分にしておくのが一番だ。
2/ 二度と参加できなくなるリスクは取らない
私はリスクを取るのが好きだ。しかし、再び挑戦できなくなるリスク、ゲームから完全に締め出されるリスクは取らない。創業者にとって、それはコストを削ることを意味する。危機は必ず、実験の方法や新たに解くべき問題を生む。新しいことは試せる。ただし、ゲームに残る方法を見つける必要がある。
だから、現金の支出を本当に持続可能な水準まで減らそう。そして、起業家でい続ける力を守ることが、自分の未来に不可欠だと忘れないでほしい。多くの企業や起業家はこの危機を抜けられない。その可能性を受け入れよう。
さて、この新しい世界に適応するために役立つ、リモートワークの助言をいくつか挙げたい。離れて働いていても、すばらしいことを起こす方法はある。
1/ 書くことが話すことの代わりになる。だから考え抜いたメッセージを
同じ部屋に人がいれば、自分のカリスマ性は相手に作用する。活力を与え、気持ちを盛り上げられる。しかし同じ部屋にいられなくなると、すべてが変わる。チームでリモートワークをしていて最も不思議なのは、意思決定を助ける、対面での微妙な反応が得られないことだ。
だから、文章を通じて自分のエネルギーを伝えることがとても大切になる。結局、リモートワークとは、話すのと同じくらい上手に書けるようになることだ。
私は苦労してそれを学んだ。外出制限の最初の週に、131件の通話をした。疲れ果てた。そこでSlackで、一緒に仕事をしていた人たちにメッセージを書いた。記事を書くつもりで、できるだけ明確に書き、短い質問をいくつか添えた。そのおかげで、予定していた通話の90%を取り消せたし、読んだ全員に価値を届けられた。
(通話を完全になくせと言っているのではない。短期的な対策としては有効だが、長期には続けられない。熱意を込めて書くほうがずっとうまくいく。ヒントをくれたのは、StarofServiceのLucasだった。彼は何年も前から、100人以上のリモートのチームに、エネルギーにあふれたメールを定期的に書いている。)
どうすれば、もっと上手に書けるだろうか。
- 書いてすぐに送らない。いったん置いて、1時間後に読み直し、明確かどうかを確かめる。
- 声に出して独り言を言うと、考えを整理できることがある。
- 短い文が一番だ。文体ではなく、わかりやすさの問題だ。
- 10〜15分以上続けて書かない。それ以上だと、自分の考えの中で迷いやすくなる。
そして、文章には解釈の余地があると忘れないこと。だから明確さが鍵になる。同じ本や記事でも、読者の数だけ違う解釈が生まれうる。仕事では、その点を扱えるようになって、全員が同じ認識を持てるようにしなければならない ;)。
2/ チーム全体の雰囲気とエネルギーを見守る
チームの中では、子どもがいる人といない人との間に大きな違いがあると理解しよう。今、家に子どもがいる人には、使える余力がずっと少ない。それを考慮しなければならない。でも、それでいい。これは短距離走ではなくマラソンだ。長期的に相手を傷つける要求をしていないか、確かめよう。先回りして、その人たちにも機能する仕組みをつくる。
一人で暮らし、働きすぎる傾向がある仲間もいるだろう。管理する立場なら、ずっと働かせたくなる誘惑に抗おう。燃え尽きたチームには、長引く危機が永遠に感じられる。心から人を大切にすることだ。私は以前、不満がある人は別の機会を探せばよいと思っていた。しかし危機の最中には、それがずっと難しくなることもある。だからこそ、その人の働く環境に対する責任は重い。
単純なことから始めよう。調子はどうか、最近楽しかったことは何か、おすすめの映画は何かと聞く。リモートで働く人に、仕事の後の充実した社会生活があると決めつけてはいけない。仲間が孤立しているなら、気分や心身の状態への影響を考慮しよう。
3/ 長期に効くことに取り組む
リモートワークは、以前は重要に思えなかったことに取り組む機会にもなる。私たちは皆、将来に楽観的である必要がある。だから、いずれ訪れる回復を楽にする仕事を進めるのはよいことだ。管理業務を組み直す、経費を整理する、新しいバックエンドに取り組む、さまざまな活動をどう拡大するか考える、といったことかもしれない……
Daedalium に初掲載。