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「スタートアップ営業の基本」のイラスト

Oussama Ammar

スタートアップ営業の基本

ヨーロッパ、とりわけフランスでは、営業はかなりタブー視されている。「営業マンみたいだ」と言われたら、それは相手をだまそうとしているという侮辱だ。一方、米国では「見事な売り込みだった」は褒め言葉になる。

こちらの大きな問題は、優れた製品があっても、誰にも知られていないことだ。営業の文化が弱いので、よい解決策を次の大きな成功に変えるのが苦手なのだ。しかし起業家の仕事は売ることだ。まずは身の回りの人、投資家、従業員、銀行担当者、すべての人に売る。

優れた営業になるための唯一のルールは、その製品を買うことが、買う人にとってどうよいことなのかを理解することだ。営業に対する悪いイメージは、そこを見落としている。優れた営業は相手の話を聞き、目の前の人を理解する。精神科医のように黙って聞くのではなく、警察官のように能動的に聞く。相手の仕組みを理解し、どこに働きかければ影響を与えられるかを探るのだ。営業とは、まず鍵の場所を見つけ、それに手を伸ばしてつかみ、扉を開くことだ。できる限り多くの情報を集めなければ、成功しない。

製品が相手にどう役立つかを知るには、購入者を動かしているのが感情なのか理性なのかを知る必要がある。iPodについて多くの人が理解していなかったのは、この点だった。合理性の話ではなかったのだ。ほかにもMP3プレーヤーはあり、家電店へ行けば、店員が保存できる曲数、圧縮率、価格など、技術的な細部を説明していた。

Appleは格好よかったから、すべてを打ち負かした。使う人が望むことを、そのまま実現する製品で、ある感情を生む方法を知っていた。それから何年たっても、Androidを買う人が、Appleより優れている理由を何時間もかけて説明しようとするのは、そのためだ。ここに理性と感情の違いがある。営業として、その二つの反応が自分の売ろうとする製品とどう関係するかを理解しなければならない。

では、営業として上達するにはどうすればよいか。大きく三つある。

  1. 買う人の状態に合わせる。

最も優れた営業は、話す相手に合わせて言葉遣いや自分の出し方を変えられる。自分でない誰かを演じるのではなく、自分の幅を広げる方法を知っているということだ。私たちは私生活ですでにやっている。初めてのデートで、最初の子どもにつける名前を話し始めたりはしない。相手が怖がるからだ。適切なタイミングで、適切な一歩を踏み出そう。それが関係の築き方だ。

  1. 見込み客を見極める。

売るときには、相手に買う準備があるのかを知らなければならない。

投資家との面談で「スタートアップはお金を稼がない。利益なんて出ない」と言われたら、帰ろう。面談は終わりだ。信じていないことを信じるよう、人を説得することはできない。友人が豚肉を食べないなら、食べるべきでないと信じているからで、信仰は基本的な権利だ。私が「先週宇宙人が来て、グミを食べるなと言った」と言っても、あなたはグミをやめないだろう。しかし私はやめる。

見込みのない相手に時間を無駄にしない。話す人数を増やし、最も買う可能性の高い人を狙おう。見込み客の10%に素早く売るほうが、20%を説得しようと延々時間をかけるよりよい。下手な営業は自尊心を持ち込む。自分が正しく、相手が負け、自分が勝たなければ気が済まない。しかし話す人数を倍にして、誰がよい見込み客かを素早く見抜くほうが、ずっとよい。

しかも、それは具体的な目標になる。早く起きる、速く話す、手順を効率化する。優れた営業はよく働く。営業のすばらしいところは、努力と成果が直接つながる分野の一つであることだ。最高の営業になるには、結局、誰よりも多くの時間を売ることに費やす。筋肉のように、時間とともに強くなる。成功のドーパミンも助けになる。優れた営業は、それによってほぼ常時「営業モード」になる。KymonoのOlivier Ramelと休暇の話をすると、今すぐ自分もまったく同じ休暇を買いたくなるはずだ。彼はいつも自然に売っているからだ。

  1. 製品を愛する。

自分の製品を信じていなければ、本当に優れた営業にはなれない。まず、相手はディズニーで育った世代だ。冷笑的でなく、肯定的な手本とメッセージを示す映画で育っている。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のように営業を考えたら、道を間違える。その世代がネットに口コミを書く世界だからだ。800人があなたとの体験をネットで語れば、現実の影響がある。

そして第二に、私たちは皆、自分がしていることの意味を探し続けている。よい営業であるとは、売れたときに自分自身についてもよい気分でいられることだ。

この三つを身につければ、残りは簡単だ。すべて努力の問題になる。

  • 営業は繰り返しだ。『二郎は鮨の夢を見る』を見ればわかる。米を正しく炊けるようになるまで9〜12年かかると言う。鮨を握ることではなく、米だけの話だ。同じ工程を繰り返し続ける。営業も同じだ。自分の売り込みが嫌になるほど繰り返していないなら、まだ足りない。そして嫌になっても続ける。その先で、まったく新しい、自然にできる段階へ進むからだ。練習と結果は直接つながっている。だからこそ、自分が売るものを愛することが大切なのだ。
  • 熱量が大切だ。コロッセオが大部分残っている一方、多くのギリシャ神殿が廃墟なのはなぜか。ローマ人は理論よりも、実際にやることを重視したからだ。まず実践し、後から背後の理論を理解する人は、優れたものを築く。常に売ることを目指そう。あらゆる瞬間が販売の機会だ。そうすれば素早く上達する。
  • 自分の小さな世界を出て、全体像を見る。「もっと上手にできる」と考える人は多いが、ほかの多くの人もすでに同じことを考えたと理解していない。現状には理由がある。タクシーの組合がUberに取って代わるのを、なぜまだ待っているのか。それほど簡単ではないからだ。競合は自分より優れ、自分が理解していない何かを理解していると考えるとよい。競合がある方法を使っていないなら、思いつかなかったからではなく、試してうまくいかなかったからである可能性が高い。

Daedalium に初掲載。