
Oussama Ammar
初期の資金調達が非合理的である理由

非合理的といっても、星を見上げて神秘的な儀式をするわけではない。どう動けばいいか、順に見ていこう。
スタートアップが実際にどう動くかを学ぶことも、起業家になる過程の一部だ。初心者かどうかは年齢ではなく経験で決まる。18歳でも63歳でも同じだ。ほとんどの新しい起業家は、投資家がなぜ、どういう理由で自分にお金を渡すのかを理解しないまま出発する。
まず、多くの若い起業家が資金調達を理解できないのは、非合理的な過程に合理的な考え方を当てはめようとするからだと認めよう。スタートアップとベンチャーキャピタルの世界は、過剰なほど楽観的だ。これを仕事にしている人は皆、非合理的なまでに楽観的である。それほど失敗率が高い世界で生き残るには、そうするしかないからだ。
その楽観性ゆえに、理屈の上では、どのVCもすべての案件に投資したい。資本が無限にあれば、そうするだろう。だが無限ではない。選ばなければならず、そこで機会を逃す恐れ、FOMOが働き始める。
個々の案件について言えば、プロの投資家は、元本が戻るだけの結果より、大きな成功を狙って損失を出すほうを好む。計算してみよう。1,000万ドルを投資するファンドで、10件に賭けられるとする。目標は1,200万ドルを回収することではない。VCでは、それは失敗だ。狙うのは、キャリア全体を決定づける100倍のリターンである。投資したいのは、慎重に守る人ではなく、資金を危険にさらしてでも、その100倍を目指して全力を尽くす会社だ。
もちろん、会社が大きくなるにつれて、資金調達も変わる。シードでは出資できる投資家が多く、その判断は感情に大きく依存する。まだ数字もデータもほとんどない。不確実性が高すぎて、従来型の調査にはあまり意味がない。「Xは大きな問題だ」「それを解くのは自分たちのチームだ」と、納得してもらう必要がある。
だが、プロダクト・マーケット・フィットに達し、シリーズAを調達する段階では、そう単純ではない。
起業家にとっては、心が躍る時期だ。顧客が10人から数百人、数千人になり、成長率が跳ね上がる。銀行口座に1,000万ドル入ったら何をしようかと夢が広がる。だが、投資家は同じほど興奮していない。毎日一日中、あなたと同じくらい胸を高鳴らせた起業家に会っているからだ。(機会を逃す恐れが働くのも、そのためだ。どの投資家も、後に大成功した人を断った経験がある。)
VCが狙うのは、極端に大きな結果だ。
大きなラウンドには、より多くの人が関わる。シードなら、投資家が一人で決められる場合がある。だがシリーズAでは、ファンド内のほかの人も説得しなければならない。強く反対する人が一人でもいれば、あなたと話している担当者がどれほど望んでも、成立しない。シリーズAでは、確信と組織内の力関係の両方がものをいう。その力関係は通常、あなた自身や事業とはまったく関係がない。
確信を持ち、組織内でも支持を得られる投資家を迎えることは、将来のためにも重要だ。シリーズAの投資家が次のラウンドに参加したがらなければ、会社は苦労する。シードの投資家がシリーズAで追加出資しないことには、いろいろな理由があり、周囲も理解する。だがシリーズAの投資家は、良くも悪くも、取締役会に入り、長く付き合う相手と見なされる。UberのシリーズAで入った取締役は、IPOまで残った。シリーズAは結婚のようなものだが、離婚という選択肢はない。慎重に選ぼう。
では、会社の初期に資金調達を成功させるため、起業家には何ができるのか。
- Tinderのように考えない。資金調達は、合う相手を見つけ、関係を築くことだ。ただ口説けばいいわけではない。一枚の条件提示書を得るまでに、多くの投資家と会うことになる。直感を信じよう。何かが違うと感じたら、時間を無駄にしない。
- 適切な態度で臨み、予想していなかったものを見せる。ヨーロッパには、起業家の非合理的な行動や、起業家側から「この話はうまくいかない」と交渉を打ち切る態度に、強い印象を受けるVCが多い。目指しているのは、ただ生き延びることではなく、大きく伸びることだと示そう。
- 嘘をつかない。投資家は警察のように、いつも嘘を聞いている。すぐに見抜く。
- 質問する。自分も投資家を評価している。なぜ自分に投資したいのかを確かめる。踏み込んだ問いをするほど、長期的に強い関係を築ける。
Daedalium に初掲載。