
Oussama Ammar
最大のリスク
Star of Serviceから私は、直感に反するやり方がどれほど有効になり得るかを学んだ。一般的な経営の常識に照らせば間違って見えることを、このチームは実行し、結果につなげた。
私たちは、物事を予測できる直線的な経済から、指数関数的に変化する未来へ移った。だから、事業計画やビジネスモデルを練ることに費やす時間の多くは、あまり役に立たない。ビジネスモデルをあらかじめ設計できたのは、物事が一定のパターンに従っていたからだ。

「いやいや、人は本屋をぶらぶらするのが好きなんだよ。本を手に取る感触が好きなんだ。うまくいくわけがない」。はいはい、そうですか。
優れた事業は、決まったパターンに従わない。数人が一つの部屋に集まり、何もかも「間違った」やり方で進めながら、人々が夢中になるものを見つける。これは大きな前提の変化だ。かつては、予測できる未来に向けて計画を立て、資産を配分していた。いま、未来を予測できる可能性があるとすれば、自分で積極的につくることだ。
つまり、はるかに大きなリスクを取るということだ。見返りも、はるかに大きいから。スタートアップをつくるなら、大きなリスクを取り、世界を変えるほどの存在になりたいからであってほしい。
昔はそうではなかった。1960年代に、学校で優秀な成績を取り、世の中には機会があり、自分も何か大きな影響を与えたいと思った人は、大企業に就職した。医療でも、エネルギーでも、宇宙でも、その分野でいちばん大きな会社に応募する。それが、大きな影響を与える最善の方法だった。
なぜか。当時は、そしてその後もしばらくは、起業にとてつもないお金がかかったからだ。インターネットがまだ若かった1995年でさえ、事業を始めるのに数百万ドルかかることがあった。オープンソースは普及しておらず、技術にはライセンス料が必要で、インフラも高かった。その世界では、大企業に雇われることが出世への最善の道だった。
ところが、世界は一夜にして変わった。
インターネットの爆発的な普及が、すべてを変えた。インターネットが広がった最初の20年間、新しい事業を始める費用は毎月のように下がった。かつて数百万ドルかかったことが、数千ドルでできるようになった。いま1万ドルを持ってスタートアップを立ち上げるなら、少し余裕がありすぎるとさえ感じるかもしれない。
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さて、起業したときにお金がなかったのは誰だろう?
実行の費用が下がるのと同時に、学ぶ費用も下がった。これはありがたい。起業家は学び続けなければならず、毎日、新たな課題に直面するからだ。1995年、新しいプログラミング言語を学ぼうとすれば大変だった。必要な教材を見つけるだけでも必死になる。情報はまだネットにないかもしれず、適切な本がそろった図書館を探さなければならなかったかもしれない。ロンドンやボストンに住んでいれば、それほど困らなかっただろう。でも、大きな図書館がない場所に住んでいた人たちはどうすればよかったのか。
いまでは、問いと答えの距離はなくなった。スマートフォンがあれば、ほとんど何でも数秒で調べられる。かつて私たちは、知識にはお金を払うものだと考えていた。名門校での教育に払う。コンサルタントや弁護士の1時間に払う。カンファレンスへの参加に払う。でも、知識や専門性そのものにお金を払う時代は終わった。専門家は、世界がどうなっていたかを説明するのは得意だった。しかし、世界がこれからどうなるかを説明するのは得意ではなかった。いま大きな勝負になっているのは、その未来を見る視点だ。そして、その勝負をしているのが起業家だ。
だから、優れた起業家は学び始めるまでに時間を無駄にしない。無料で手に入る知識を、自分で取りにいく。しかも速い。
古い価値の連鎖は壊れた。そのことを理解してほしい。産業時代の価値の連鎖は単純だった。まずアイデアがあり、それが起業家としての力量を決めた。知識が自由に流れていなかった産業時代には、アイデアは希少だった。一つのアイデアを持つだけで、それを思いつかなかった人たちと差がついた。次に資本が必要だった。たいていのアイデアは、実現するまでに多額のお金を必要としたからだ。そして、集めたお金と引き換えにアイデアを形にしてくれる工場を探した。製品が完成すると、流通業者を探す。すべて順調なら、顧客が流通業者の店先で待っていて、商品を買った。あなたは天才だった!
21世紀は、そのようには動かない。起業家は最終顧客と直接つながっている。かつての
アイデア → お金 → 工場 → 流通業者 → 顧客
ではなく、いまは
アイデア → 顧客。
ウェブサイトをすぐにつくり、まだ存在していないアイデアを試し、売ることができる。市場があるとわかったら、つくる。本当に需要があると確かめる前には、何もつくらない。少なくとも、そうすべきだ。
だから、最初に成功させるべきは市場に届けることだ。いまは誰もがアイデアを持っている。知識が自由に流れる市場では、アイデアも自由に流れる。思いついた? よかった。ほかの1万8000人も思いついている。アイデアはコモディティだ。起業家が「すごいアイデアがあるんです」と言ってくると、私は「一つだけ? どうしたんだ?」と返す。アイデアは愛と同じで、そこら中にある。;)
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うん、わかった。でも、それを事業にできる?
アイデアが資本を奪い合うのではなく、資本が最も有望な市場を奪い合う。製品が実際に使われ、伸びていると示せれば、多くのお金が後からついてくる。つまり、お金もコモディティになりつつある。ついでに言えば、中国は数十年をかけて工場での生産をコモディティに変えた。顧客と直接話せるなら、流通もコモディティになる。かつての価値の連鎖のすべての段階が、コモディティになったのだ。
それは何を意味するのか。私たちの世界で、最も安く、速く、直接的に影響を与える方法は、スタートアップを立ち上げることだ。
それに興味があるなら、スタートアップとは何かを理解しなければならない。第一の特徴は、直感に反することだ。だから、いちばんまずいのは、アイデアを頭の中だけで評価しようとすること。その代わりに実験しなければならない。顧客に直接、簡単に、安く届けられるのだから、突飛なことを顧客と試せば、大きな優位性になる。
(これから10年取り組むつもりのアイデアを見つけるのに、驚くほど労力をかけない人がいる。「なぜこれをやるの?」と聞くと、「ある日思いついて、結構いいと思ったから、やることにしました」と言う。恋愛で同じことをしたらどうだろう。Tinderでスワイプできるのが一度きりだと想像してほしい。それで決まり。いきなり子ども、休暇、何もかも、その相手に一生を捧げる。😳 😳)
正しいアイデアを見つけるには、たくさん試す必要がある。もう「一つのアイデア → 一つの会社」ではない。「大量のアイデア+実際の人を相手にした検証 → 一つのスタートアップ」だ。考えただけでは到底信じられないような奇妙なアイデアほど、巨大な変革を起こす可能性がある。
Facebook、Google、Airbnbを考えてみよう。大学の友人が金曜の夜に何をしているかを知るサイトが、20億人のユーザーを獲得するわけがない。1990年代のチャットルームで「すべてのウェブサイトを巡回して、結果を一か所に集める連中がいる」と言えば、笑われただろう。知らない人を自分の家に泊める人なんているはずがない。
ピーター・ティールは、これをとてもうまく説明した。よいアイデアに見えるものと、悪いアイデアに見えるものがある。よいアイデアは大企業が実行する。筋が通っているからだ。仮に失敗しても、誰もがよいと思っていたのだから、ばかには見えない。

ポール・グレアムがピーター・ティールを振り返る。
スタートアップは、悪く見えるけれど、とんでもなくすばらしいものになるかもしれないアイデアを実行する。悪く見えるよいアイデアこそ、スタートアップが狙うべき場所だ。直感に反するものを探す。問題を探す。解決策を思いついてから、それに合う問題を探すより、実際の問題から始めたほうが、突飛な解決策を見つけやすい。
ただし、勘違いしてはいけない。ここまでの変化によって起業は簡単になったが、スタートアップを経営するのはいまも極めて難しい。そして、お金持ちになる最善の方法でもない。お金持ちになりたいなら、起業家の下で働けばいい。Facebookの最初の1000人の社員は、シリコンバレーの起業家の80%より多くのお金を得た。Facebookの1000人目の社員になることに、そこまで大きなリスクや、とびきりの頭のよさが必要だったわけではない。
起業するなら、本当に影響を与えたいから起業してほしい。それが望みなら、できるだけ大きなリスクを取るべきだ。いまのビジネスでは、大きなリスクを取るために自宅を担保にしたり、家族を困らせたりする必要はない。個人で借金する必要もない。何をやるにしても、大きくやろう。
待つ必要もない。起業家になるための経験は、起業家になることでしか得られない。できるだけ早く始めよう。私たちの世界では、若さは大きな資産だ。変化があまりに速いので、年を取るほど戸惑いやすくなる。何も知らないことを心配しなくていい。知らぬが仏とは本当だ。起業家は自分のやっていることに完全に集中しなければならないから、どこまでひどい事態になり得るかを知らないことが、むしろ役に立つこともある。
しかも、何も知らなければ、何でも学べる。すさまじい勢いで学ぶことが、いちばん大切だ。人は成功した起業家や、ほかの分野で成功した人を見て、生まれつきそうだったのだと思う。10代のマーク・ザッカーバーグが、後に世界規模の会社を築いたときと同じ人間だったかのように。でも、そうではない。彼は道のりの中で、学習の速度を上げていった。誰にでも、目に見えない学習曲線がある。起業家は、自分の曲線をできるだけ早く、できるだけ急に立ち上げるために、あらゆることをしなければならない。

大事なのは、そのとき何を知っていたかではない。その後、何を学んだかだ。
もう一度、一つだけ覚えておいてほしい。指数関数的に変わる世界では、未来を予測する最善の方法は、自分でつくることだ。結局、それは他人につくってもらうより、ずっとリスクが小さい。
Daedalium に初掲載。